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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

藤沢周平 「たそがれ清兵衛」

時代小説を書く作家の歴史を簡単に辿ってみると、まず大正初期に「大菩薩峠」で有名な中里介山が登場します。それ以前にももちろん時代小説作家はいましたが、今のスタイルの時代小説のスタートはここからというふうに一般には認識されています。そして大正末期から昭和初期にかけて長谷川伸、直木三十五、吉川英治、大仏次郎、子母澤寛、山本周五郎、山岡荘八と大物が続々と登場します。戦後になってからは五味康祐、柴田錬三郎、司馬遼太郎、山田風太郎、南條範夫、池波正太郎などが登場します。そして藤沢周平は昭和46年にオール読物新人賞、昭和48年に直木賞を受賞して堂々のデビューを果たします。こうして見てみると大正から昭和中期くらいまでに一挙に大物がデビューし活躍しているのがわかります。そしてこれはえしぇ蔵の個人的な意見ですが、どうも藤沢周平を最後に大物時代小説作家の時代は終わったような気がします。そういった意味でも藤沢周平の存在は文学史において一つの区切りになるのではないかと思います。この人の作品は時代小説でありながら歴史の知識があまり必要でないのが特徴です。平和な江戸時代の話が多いですし、藩も架空で登場人物も架空のものが多いです。だから気楽に読めます。ただ江戸時代の人々の生活の細かい描写については時代考証が徹底していますので作品が軽くならないわけです。「たそがれ清兵衛」は映画化された名作です。主人公の人柄はこの人が好きなパターンの一つです。つまり普段はあんまりぱっとしないけどいざという時にビシッと決める。きっとそういうところに男のあるべき姿を見ていたのでしょうか。とにかくリラックスして読める時代小説ですから気軽に読んでみて下さい。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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