蔵書

福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

横光利一 「春は馬車に乗って」

アメリカで暮らすある友人が日本の文学作品に飢えているということで、えしぇ蔵のセレクトで何か送って欲しいと頼まれて迷わずこの作品が含まれている横光利一の短編集を贈りました。文学のわかる友人だったので大変喜んでくれました。自分にとって特別に印象深い文学作品というのは、一度読んだらその後ずっと本棚で眠るというものではありません。繰り返し繰り返し手にとって読み直すものです。そしてそういう作品は必ず読むたびに新しい発見があります。この作品はえしぇ蔵にとって”繰り返し読む”本の一つです。内容は悲しい愛の物語です。病床において死を間近に控えた奥さんを主人公が看病する日々を描いていますが、二人のやりとりが非常にリアルに描かれています。残りわずかな時間を愛を確かめあいながら仲良く過ごすという単純な悲恋ものではありません。時には感情の行き違いから喧嘩もします。悲しみだけでなく焦燥や怒りも含まれており、その不安定な心情を実に見事に描いてある点が余計に涙を誘います。そしてこの素晴しいタイトル、「春は馬車に乗って」。これがどういう意味かは作品の最後でわかりますのでここでは説明は省きます。春は馬車にのってゆっくりとやってくる。さて、どういう意味なんでしょうか。横光利一は川端康成と親友で、ともに”新感覚派”と言われた作家ですが、正直に言うとえしぇ蔵はノーベル文学賞とったを川端康成よりも彼のほうが才能は上ではないかなと思っています。現実に川端康成自身も自分は横光利一の先には行っていないという自覚があったようです。日本の文学史上においてトップクラスの実力者の力作を皆さんも是非読んでみて下さい。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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