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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

谷崎潤一郎 「鍵」

日本が世界に誇る文豪、偉大なる谷崎潤一郎の文学を語る上でエロティシズムというのは欠くことのできない要素です。エロティシズムをテーマとして取り組んだ小説家は星の数ほどいますが、これを芸術の域にまで引き上げることに成功したのはほんのわずかと言っていいのではないでしょうか?谷崎潤一郎はおそらくその中で最高峰の存在でしょう。なにしろ難しいテーマですからね、下手すると単なる性欲の対象と見做されてしまいます。谷崎潤一郎のエロティシズムに関する作品が日本文学史上に名を残すだけでなく、海外の人にも高く評価され続ける理由はどこにあるのでしょうか?えしぇ蔵はエロティシズムを深く掘り下げたところにある、存在は確認できるが誰もが認めたがらない心理的未知の部分にまで到達しているからではないかと思います。読み手は動揺し、自分の未知の部分を知られてしまったように感じてしまう。つまりは彼の作品を読み始めると、完全にその掌の上で転がされて征服されているわけです。こちらの考えていることは全てお見通しなのです。雲に乗って遠くまで来たつもりでもそこには大谷崎の指が待っているだけなのです。それに気付いた時にこの文豪の恐ろしさの虜となるのではないかと個人的に推察しています。物語はある夫婦とその娘の婚約者の三角関係を夫婦が秘密に記している日記をもとに描かれています。男は故意に妻を娘の婚約者に近づけ、妻への嫉妬心によって興奮を得ようとし、妻はその意図に気付きながら従うという異常な性愛の世界です。普通なら三文エロ小説になりそうな物語が多くの人をうならせる名作に昇華されているその技を是非皆さんの目で確かめて下さい。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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