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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

田山花袋 「田舎教師」

人は誰しも若い頃には夢を抱きます。男性なら特にそれが強いでしょう。いつか大きな夢をかなえて一旗上げてやると志す人がかつての日本にはどこにでも見受けられました。家族のため、国のためという思いを胸に真摯に生きたことでしょう。ところが天運というものはそんな人たち全てが夢をかなえることを許してはくれません。多くの人が志半ばにしてあきらめざるを得ないのが現実でした。夢を阻む要因は、明治から昭和初期という頃だと病気や出征が大半です。夢に向って走ろうにも社会の情勢や健康状態が許してくれないのです。現代のように熱意と努力次第でどんな夢にでもチャレンジできる環境ではなかったのです。この小説は夢をあきらめざるを得なかった一人の男性の悲しい物語です。冒頭では希望に燃え喜びの中に生きていますが、様々な挫折を経験していき、どの夢もなかなか実現化することができず、最後には病魔に襲われます。夢どころか生きる時間さえ奪われて若くして死んでゆく姿は、きっとかつての日本ではたくさん見られたことだろうと思います。この作品を読んで痛感するのは、現代に生きる我々は夢が叶わないことを悲しむのではなく、夢を叶えるために努力することができるということに感謝すべきだということです。このことを是非現代の若者に、時間と可能性を無限に秘めた人たちにわかって頂きたいのです。読み飛ばすのではなくゆっくり読んで、今の自分に与えられている恵みを実感して頂ければ、この作品を紹介した甲斐があるというものです。それに加えて極めて美しく無駄のない文章の素晴らしさも是非味わって頂きたいところです。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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