蔵書

福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

横光利一 「夜の靴」

大学で日本文学史を勉強した人とお互いの尊敬する作家について語り合ったことがありましたが、その際にえしぇ蔵が横光利一の名前をあげると驚くことにその人は知りませんでした。大学で勉強したのに知らないということがあるでしょうか?実はこれは有り得る話なのです。新刊本を売っている街の本屋さんに行って横光利一の本を探してみて下さい。おそらく簡単には見つけることができないでしょう。今の時代、その存在すら知らない人が多いのは事実です。その理由は戦争中における彼の国粋主義的な活動にあります。要するに軍部に味方するような言動や行動が多かったので、それを戦後に糾弾されたわけです。驚くことに出版社から出版拒否なんていうこともされたようです。このへんは日本人のご都合主義の犠牲になったような観がないわけではないのですが、そういった理由によって一時は文学史から抹殺されてしまいます。あのノーベル文学賞の川端康成ですら一目を置いていたほどの作家の存在を否定した時代があったのです。そういった経緯があって今では作品があまり手に入りにくい作家という位置づけになってしまいました。この現実にはえしぇ蔵は大いに疑問を持ちます。戦時中に軍部よりのものを書いて戦後も一線で活躍した人は大勢いますがなぜ彼だけここまで?と思わずにはいられません。それに作品の質は作家の思想や姿勢によらず評価されるべきであり、ことに優れた彼の場合は日本文学史の誇りとすべきだと思うわけです。徐々に再評価という動きはあるようですが、えしぇ蔵的には日本人なら知らない人はいないというほどの存在に返り咲いて欲しいと思っています。この作品は晩年の彼の日記ですが、その文章の美しさは圧倒的です。その実力の片鱗をうかがうには十分の作品です。おそらく古本屋でないと手に入らないと思いますが探してみて下さい。こんなすごい作家もいたんだということを是非知って下さい。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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