蔵書

福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

田宮虎彦 「二本の枝」

まずは簡単な内容から。女学生の頃は仲良く楽しく過ごした親友の二人。その清純きわまりない青春時代はまぶしく光っていましたが、社会に出てそして結婚してという過程を踏んでいくうちに徐々にどちらも不幸になっていきます。本人たちに何の責任もないのにです。それなのに自棄になることもなく、お互いなぐさめあってがんばって生き抜いていく二人の物語。なんともいじらしくて涙を誘います。悲しい内容ではありますが、これはきっと多くの女性の心に響くものがあると思います。それも子育てを経験した40代以上の、いくつかの山や谷を経験し乗り越えてきた女性の方たちは、きっと共感を持たれると思います。この二人の女性の思いが伝わってくると思います。それほど的確に女性の心理を描写している田宮虎彦という作家の力量に驚嘆せずにはいられません。おそらく文章の技量だけではなく、かなり優しい心を持っていたんじゃないかなと推測できます。そうでないと女性の心の痛みがあれほど表現できるとは思えません。田宮虎彦は奥さんを胃癌で亡くした後、奥さんと交わした手紙をまとめた作品「愛のかたみ」を発表し、高く評価されてベストセラーになります。おそらくそこでも人の痛みがわかる優しさが、多くの読者を感動させたのだと思います。人間性が作品に現れる一つの例だと思います。いいものを書きたいと思うえしぇ蔵に、文章の訓練だけではいいものは書けないということを教えてくれた作品でもあります。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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