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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

与謝野晶子 「みだれ髪」

与謝野晶子という人を語るのは簡単なことではありません。歌人としての彼女の卓越した才能は文学史において燦然と輝いていますが、それですら彼女の一部分でしかありません。世の風潮に左右されることなく日露戦争に出征した弟の身を案じる「君死にたもうなかれ」の詩のように、何憚ることなく己の主張を声を大にして言うその勇気たるや、特に賞賛されるべきことでしょう。そして「源氏物語」を翻訳し古典文学の道へ多くの人を導いたことも彼女の成し遂げた大業の一つです。当時女性が知識を豊富に持つことは不要なことだと思われていた中で、女性の教育の自由を主張したこと、また男女共学を最初に実現させた功績なども忘れるべきではありません。とにかく調べれば調べるだけ彼女の才能、情熱、度量を思い知らされます。彼女の全てについて語ることはとうてい覚束ないので、ここでは作品「みだれ髪」についてのみご紹介します。この歌集はいわば彼女の名を日本全国に知らしめた出世作です。有名な歌が多いので皆さんご存知の歌もあることと思います。
「やは肌の あつき血汐にふれも見で さびしからずや 道を説く君」
「髪五尺 ときなば水にやはらかき 少女(おとめ)ごころは 秘めて放たじ」
当時、この歌集は大変な物議を醸したのですが、その理由は女性の官能について率直に表現していたからです。女性は三歩下がってだの、台所を守ってだの、三つ指ついて、だのと言われていた時代にしてみれば大変な事件です。彼女の活躍はここから始まりました。思えば彼女は日本の女性を目覚めさせるために生まれてきたのかもしれません。エネルギーに満ち溢れたこの歌集がいかに後の世に影響を与えたか、是非読みながら感じてみて下さい。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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