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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

阿川弘之 「軍艦長門の生涯」

個人的に阿川弘之の太平洋戦争関連の作品は大好きです。あの有名な大日本帝国海軍提督三部作「山本五十六」「米内光政」「井上成美」はその人となりを見事に描ききっていますし、太平洋戦争の実態を後世の日本人に伝えるための絶好の資料にも成り得ます。是非読んで頂きたい三冊ですが、その前に読んで頂きたいのがこの「軍艦長門の生涯」です。この作品を出発点として、他の太平洋戦争関連の作品に進んで頂きたいと個人的には思います。この作品は大正から昭和初期にかけて、「大和」が登場するまで日本の連合艦隊の旗艦であった「長門」の物語です。大正の頃に設計が始まった段階から連合艦隊旗艦時代、そして他の戦艦が次々に最期を遂げる中で唯一終戦まで生き残り、戦後にビキニ環礁で原爆実験の標的にされて沈没するまでの長い長い生涯を描いています。その間に日本に起こる様々な事件や、それに伴う世相の変化なども同時進行で描いてあり、結局はその頃の日本の変遷自体を描いていると言ってもいいくらいです。出てくる登場人物も次から次に変わります。それぞれにドラマを残して去って行きます。あの頃の日本人はどういう考えで行動していたのか?これを読むとそれがリアルに伝わってきます。阿川弘之自身が海軍生活を経験しており終戦時には海軍大尉にまで昇進していましたが、彼の中には海軍への深い思い入れがあるようで、終戦時の見る影もない海軍のありさまや、実験艦として最期を迎える長門を描いている部分は寂寞を誘うものがあります。長門の勇姿、海軍の栄光を描きつつ最後に残るのは悲しみであること。そこに我々現代の日本人は何かを感じるべきですね。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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