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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

井上靖 「蒼き狼」

世界の歴史には地図を大きく塗り替える英雄(あるいは侵略者)が登場します。アレキサンダー大王しかり、ナポレオンしかり。その中で最も広い範囲を我が物としたのはチンギスカン(成吉思汗)です。彼が築いた帝国は子孫の代も膨張を続け、一時はヨーロッパの一部にまで到達します。まさにユーラシア大陸の大部分を占領した形になります。ここまでの偉業を成し遂げた要因はなんでしょう?騎馬民族なので馬の扱いに巧みであったこと、効率的な軍隊編成、独特の弓を使用していたことなどの戦術的なことや、占領した国の文化を尊重した政策などもあるでしょうが、一番の要因はやはりチンギスカン(成吉思汗)の人間そのものにあったのではないでしょうか?昔の話なのでその人間性を深く知ることは困難ですが、そこに井上靖はロマンを感じ、このスケールの大きな物語を書く意欲を持ったのではないでしょうか?大小の部族が互いに派を競っているだけだったモンゴルの民族を一つにまとめあげ、周辺の国を占領し、巨大な帝国を築き上げたのは一体どういう人なのか?誰しも思うところだと思います。作品は文章が独特な表現方法を使用しており、それが古の物語をうまく演出しています。ストーリーもテンポよく進行し読みやすいです。まさに頭の中で超大作の映画が上映されているような印象を受けます。いつしか自分も馬上の人となって、広大な大陸を風を受けながら駆け巡っているような気分になれます。井上靖ならではのスケールのでかい、そして構成の完璧な歴史小説です。たっぷりお楽しみ頂けると思います。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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