蔵書

福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

横光利一 「蝿」

よくいろんな人に「一番好きな作家は誰ですか?」と訊かれますが、これが一番答えにくい質問です。えしぇ蔵は明治初期の坪内逍遥から昭和中期くらいまでの作家ならそれこそ山のように尊敬する作家が存在しますし、一方で古典も好きですし、中国や欧米の海外文学における好きな作家も枚挙に暇がありません。それでも誰か一人と言われていつも答えるのは横光利一です。そしてその時には必ずこの「蝿」に強烈なショックを受けたことを話します。えしぇ蔵にとってはこの作品との出会いは自分の目指す文学の方向性を決める際に大いに参考にしました。この作品が初めて読んだ横光利一の作品であるにも関らず、既に底知れぬ敬意を抱いていました。「こういう作品を書きたい!」という強い欲望は今でも保持し続けています。もしかすると人生を変えた作品となるかもしれません。ストーリーは一匹の蝿の目から見た人間たちのごく平凡な日常を描いています。一体この作品は何を言いたいのだろうと思いながら読み進んでいくと、あっと驚く結末が待っています。そして全部読み終わって後に、この作品の言わんとするところが強烈に脳みそにつきささってくる感じがします。インターネット上でこの作品に関するいろんな感想の中に面白い表現がありました。”この作品は最初は蝿が死、人間が生を象徴しているが、最後にそれが逆転し、蝿が生、人間が死になる。”えしぇ蔵も全く同感です。生と死の表現、そこにこの作品の真髄があるのではないかと思います。非の打ち所のない構成、美しくリズムのある文章、ありありとその情景がうかぶ巧みな描写など、作品としてもまさに完璧と言っていいのではないかと思います。当時の文壇を驚かせたというのもうなづけます。皆さんにはどれくらいショックを与えるでしょうか?是非、お試しを。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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