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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

山本周五郎 「赤ひげ診療譚」

歴史小説となるとすぐに連想するのは戦国時代ものであったり、幕末動乱ものであったりします。そうなると主人公は織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、武田信玄、上杉謙信、あるいはそれに続く戦国武将たちであったり、西郷隆盛、桂小五郎、坂本竜馬、大久保利通、高杉晋作、あるいはそれに続く幕末の志士たちであったりする場合が多いです。いわゆる歴史上の偉人たちの出番が多いわけですが、歴史小説というのはその範囲にとどまるものではありません。時代が過去であれば主人公は偉人でなくても構わないわけです。ここで紹介する山本周五郎の小説の主人公というのは、市井で普通に生活する一般人であることが多いです。これはどういうことを意味するかというと、つまり彼の作品というのは普通の人の目線から書かれているということです。舞台こそ過去の日本ですが、そこに描かれているのはどこにでも起こりうるような人間ドラマであって、主張しているのは人としての正しい生き方なのです。そこが彼の歴史小説のほかとは違う点です。この「赤ひげ診療譚」では、貧しい人々の病を治す医者が主人公です。一見、偏屈だけど強い意志と人並み優れた技術と経験を持った医者の朴訥で真っ直ぐな生き方を見て、最初は反発していた若い医者も徐々に影響されていくという話です。黒沢明が映画化したのでご存知の方も多いでしょう。映画では主人公の赤ひげ役は三船敏郎でした。この作品を読めばわかりますが三船敏郎は原作の主人公を非常に巧みに演じています。山本周五郎の描く歴史小説は心にしみます。読後もさわやかで読む人を選びませんのでどなたにもお勧めです。赤ひげの人間性はいわば男として手本にすべきもののような気がしてこれを読んで以後、えしぇ蔵も一つの生き方の参考にしています。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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