蔵書

福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

井上靖 「氷壁」

1955年に前穂高岳東壁において登山者のナイロンザイルが切れて1名が墜死するという事件がありました。世に言う「ナイロンザイル事件」です。当時、社会的に大きな波紋を呼んだこの事件に井上靖は注目し、小説の題材として取組みました。実際の事件のほうでは後にナイロンザイルのメーカーの責任を明らかにすることに成功し、それ以後のザイルの切断による墜死をなくすきっかけとなりましたが、この作品の中ではザイルがなぜ切れたか?という点に焦点が置かれ、ドラマが展開していきます。題材こそ取り入れていますが、実際の事件とは内容は違いますのでご注意下さい。
この作品は掛け値なしにストーリーが面白くて一気に読んでしまうことができます。展開がドラマティックで読む側をぐっと引き込むこと、文章が詩情豊なことは井上靖の本領発揮というところでしょうか。”完璧に仕上がっている”という印象を受けます。主人公はある悩みを抱えた友人と奥穂高に登ることになりますが、もうちょっとで頂上というところでなぜかザイルが切れてしまい、友人は滑落死してしまいます。切れないはずのザイルがなぜ切れたのか?友人は自殺したのではないのか?主人公はいろんな憶測に悩みつつ、自分への嫌疑もあったので真相解明のために奔走しますが、答えを得ることはできませんでした。そしてついに最後の手段として一人で登ることを決意します。果たして主人公は真相解明に成功するのでしょうか?こうやって少し筋書きを紹介しただけでも読んでみたくなりませんでしたか?小説の面白さを追求するなら一押しの作品です。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 | HOME | 

FC2Ad

カテゴリー

最近の記事

ブログ内検索

リンク

このブログをリンクに追加する

プロフィール

esezo

Author:esezo
FC2ブログへようこそ!

QRコード

QRコード

RSSフィード