蔵書

福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

灰谷健次郎 「とんぼがえりで日がくれて」

えしぇ蔵は成人してからもずっと読み続けてる童話があります。それは宮沢賢治の作品とトーベ・ヤンソンのムーミンシリーズ、そして灰谷健次郎の作品です。これらは大人も読むべき童話だと思います。灰谷健次郎という人は少年の頃の感性を忘れずに成長し、大人になってそれを作品にしたような印象を受けます。大人にはもうわからない細やかな子どもの心理を見事に描いていて、読んでる側に懐かしい何かを思い出させてくれます。彼が描くところの子どもたちというのは現実の世界においてあまり見かけることはないかもしれません。特に今のように様々な情報が氾濫する世界においては非常に困難でしょう。子どもたちがまっすぐに育つというのはだんだん難しくなっています。日本は経済的に豊かにはなりましたが、心は貧相になっていく一方です。そんな時代に生まれてくる子どもたちというのは、あの戦後の荒廃した日本に生まれることと比べて果たして幸福なのだろうかと疑問に思うこともあります。人間というのは逆境に生まれるとそれを乗り越える強い力をつけることができ、振り返れば逆にそのことに感謝するということも往々にしてあります。逆に豊な時代に生まれたのに愛情に飢えている子どもたちも大勢います。どんな時代であろうとまっすぐに子どもを育てるのはその時代の大人の責務です。教育するということの大事さはどんな状況下でも永久にその重みを主張しています。ではどう育てればいいのか?どう接していけばいいのか?なにかその導きとなるものはないかということになると、まさに彼の作品がそれにあたると思います。彼が描く子どもはいわば理想の子ども像です。子どもにとっても大人にとっても、彼の作品の中には模範とすべきものがたくさんあると思います。年代を問わず是非読んで頂きたいと思います。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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