蔵書

福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

海音寺潮五郎 「天と地と」

この「蔵書」で紹介した作家は偉大な人ばかりですが、この海音寺潮五郎もその例外ではありません。その残した功績の大きさは計り知れません。この人の最も大きな功績は、昭和の時代において”史伝文学”を復興させたことです。史伝文学とは歴史の記録としての文学です。一般に歴史小説と言われるものは面白くするためにある程度フィクションが混ざっているものですが、史伝文学は史実のみで構成されており、歴史を学ぶ上でその参考に成り得るものです。このジャンルの作品は明治の頃には盛んでしたが後に衰退します。そのことに危惧を覚えた彼はその作品において史伝文学の復興を目指し、後に続く作家も出て来て見事にその目標を達成します。歴史ものが好きな方なら絶対に忘れてはいけない存在です。「蔵書」で紹介すべき彼の作品は枚挙に暇がありませんが、今回は「天と地と」を選びました。この作品はドラマにも映画にもなったのでタイトルはご存知の人も多いでしょう。”越後の虎”上杉謙信の生涯を雄大なスケールで描いてます。とにかくすごいのは徹底した歴史考証です。歴史ものを読んでて、え?その時代にそれはなかったんじゃない?みたいに時代考証の甘さを発見すると非常に冷めてしまいます。猫も杓子も作家になる昨今ではそういうことが時々ありますが、この人に関してはただただ脱帽するのみです。書き始めるまでの調査の大変さがしのばれます。だからこそ作品全体にも説得力がでて面白くなるのだと思います。兼信入道の鮮やかな戦ぶりを確かな歴史考証で楽しんで下さい。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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