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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

坂口安吾 「桜の森の満開の下」

なんと美しいタイトルでしょう。さぞかし心洗われるようなすがすがしい作品なのでしょう・・・と思って読み始めたらえらいことになります。書いた人が坂口安吾だということを忘れてはいけません。当たり前な作品を書くわけがありません。そこがこの人のすごいところですから。この作品は、人の女房をさらうという乱暴な男とそのさらってきた女の物語で、滑稽でそして非常に残酷です。ある日男はとても美しい女房をさらってきますが、その女はさらわれることに恐怖を覚えないばかりか、逆にわがままを言って男を困らせます。さらってきた他の女を殺せと男に命じたりします。全く被害者的意識はなく、まるで女主人気取りです。あげくには人間の生首でままごとみたいなことをして遊んだりしますから気持ち悪いことこの上なし。そんな頭がおかしいとしか思えない女の言いなりになりっぱなしの男でしたが、とうとう最後にその女の正体がわかります・・・なんともシュールというかアイロニックというか、グロテスクというか、実に不思議な作品です。まさに坂口安吾ワールド全開です。彼の才能の一部を感じさせてくれる作品です。この坂口安吾という人は荒廃した戦後の日本において、社会とともに荒廃した日本文学が復興するにおいて大変重要な役割を果たした人です。太宰治や織田作之助らとともに”無頼派”と呼ばれ、代表作「堕落論」は、作家も含め当時の多くの人に影響を与えました。文学小説も歴史小説も推理小説も随筆も書ける豊かな才能の持ち主で、今でも研究対象となることが多いです。誰かと文学の話をする際に、「好きな作家は坂口安吾」という人だと「お、この人いい線ついてるな」と個人的に勝手に思ったりしますが、いわゆる”通(つう)”をうならせる作家なのです。そんなすごい作家の摩訶不思議な世界をちょっと覗いてみませんか?

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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