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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

小林多喜二 「蟹工船」

蟹工船ってどんな船かわかりますか?遠い北洋まで蟹をとるための長い航海に出て、そこでとれた蟹を缶詰にするという作業をやっています。そこで働く人はいわゆる出稼ぎ労働者なわけですが、この作品の主人公はその労働者たちです。物語の中では安い賃金で奴隷のように虐待・酷使され、病気や過労で倒れる者が出てくる中、彼らの不満は徐々に鬱積し、ついには団結してストライキを始めます。そこからいわゆる支配する側、される側の戦いが始まります。舞台となった時代背景は昭和初期です。その頃の日本は全体的に貧しく、労働者たちは資本家たちに対して抱いていた不満が限界に達し、様々な運動が起こった時期です。働いても働いても豊かになれず、一方で資本家たちはますます裕福になっていく。そんな時代には必ず”共産主義”というものが台頭してくるわけですが、それが文学の世界でも形になって現れたのがいわゆるプロレタリア文学です。1920年代から1930年代前半にかけてプロレタリア文学は最盛期を迎えます。つまりはその時期の日本の労働者は非常に苦しめられていたということですね。彼らを救うため、運動のひとつの手段として文学も一躍買うわけですが後に弾圧にあい、プロレタリア文学は衰退しそのまま日本は戦争に突入していきます。この作品はそんな暗い時代における日本を象徴した、プロレタリア文学の代表作といえます。日本だけでなく海外でも評価が高く、最近でも2008年には再ブームが起こり、日本共産党の党員増加に貢献したなどと言われるほどでした。なんだか政治的メッセージがいっぱいの作品なんですがストーリー的にもちゃんと読ませます。20代で獄死した小林多喜二ですが、その魂の叫びは作品の中に永遠に生き続けることでしょう。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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