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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

高村光太郎 「智恵子抄」

高村光太郎は詩人としてのほうがあるいは世間一般においては知られているのかもしれませんが、この人はもともと彫刻家です。なんせお父さんが偉大なる彫刻家、高村光雲ですからね。その長男なのでまさにサラブレッドです。スポーツの世界では難しいですが、芸術の世界では才能の遺伝は成功することが多いようで、彼もその才能を早くから花開かせます。文学の世界への関りも学生の頃からで、与謝野鉄幹のもとで修行しています。智恵子とは知人の紹介で結婚します。実は彼女も芸術家で、洋画家として活躍していましたが、もともと病弱で、やがて統合失調症になり、最後は結核で亡くなります。非常に悲しい生涯を送った女性です。光太郎は彼女を深く愛しており、その死に際しては周りの人も見ていられないというほどにひどく落ち込みます。そして彼女との思い出を綴るかのように、この詩集を発表します。皆さんも「智恵子は東京に空がないという・・・」というフレーズはご存知かと思います。この詩集におさめられた詩はどれも愛にあふれています。そして同時に深い悲しみを背負っています。読んでいくと透き通るように純粋な愛を感じることができます。それにしてもこれほど深く愛し合った夫婦というのも珍しいのではないでしょうか?たとえ生前に普通の幸せを体験することができなかったとしても、これだけ多くの愛を伴侶から受けていたのであれば、むしろ智恵子は幸せだったと言えるのではないでしょうか?そう思わせるような詩の数々です。ちなみに高村光太郎はいわゆる「口語自由詩」のパイオニアです。口語自由詩とは、要するに普通の会話みたいな詩のことです。彼はそれを最初に書いた人です。だから文学界への貢献度も無視できません。才能ある男がそれを駆使して妻へ捧げる愛を表現したのがこの名詩集です。是非あなたの本棚に。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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