蔵書

福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

山本兼一 「利休にたずねよ」

山本謙一は歴史小説を多く残しており、「戦国秘録 白鷹伝」でデビューし、この「利休にたずねよ」で2008年に第百四十回直木三十五賞を受賞しています。この作品もそうですが、「火天の城」も映画化されたのでご存知の方は多いと思います。この人の歴史小説は他とはちょっと違った視点で描かれているのが特徴です。というのは、いわゆる戦国のつわものどもが国をとったりとられたりという荒々しいドラマを描くのではなく、文化人や職人などの目を通して同じ時代を表現しています。主人公たちが目指すのは敵の首や広い領地ではなく、自分の打込んだもの、究めたい道の先にあるものであり、自分の技を磨くことによって人生修行をしていく姿を描いています。主人公の歩む道はこの作品でいえば茶人ですが、「火天の城」で言えば宮大工であり、「いっしん虎徹」では刀鍛冶、「花鳥の夢」では絵師だったりと、どの作品も絶妙の着眼点で読者のツボを突いてきます。それだけに非常に興味深く読めて、かつ教訓にできる内容になっています。この作品では利休とその周囲の人それぞれの視点から利休や茶の湯のことがそれぞれ短編小説のように描かれており、しかもそれが利休の切腹の時点から徐々に時代を遡っていく形で並べられています。だから最後は若い利休の姿が描かれて終わるわけですが、そこで利休が一生抱き続けたもの、茶の湯に表現されながら誰も見抜けなかった真実が明らかになるという、非常に面白い構成で描かれています。これは画期的なアイディアだと思います。ある意味サスペンス的な要素も満載です。作中で描かれている茶の湯や器、茶菓や料理に関する細かい知識には驚くばかりです。完璧な仕事をする人だなと感じました。面白く読ませて、感動させて、勉強させてくれる素晴らしい作品です。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

 | HOME | 

FC2Ad

カテゴリー

最近の記事

ブログ内検索

リンク

このブログをリンクに追加する

プロフィール

esezo

Author:esezo
FC2ブログへようこそ!

QRコード

QRコード

RSSフィード