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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

宮城谷昌光 「孟嘗君」

中国の戦国時代に「戦国四君」と呼ばれた人たちがいました。斉の孟嘗君、趙の平原君、魏の信陵君、楚の春申君の4人です。いずれも優れた政治家で、その所属した国に大いに貢献しました。孟嘗君は斉の人ですが、その才を買われて秦や魏にいたこともあります。この辺が面白いところです。日本の戦国時代もそうですが、敵の国に優れた人物がいるとヘッドハンティングして自分の国に呼ぶことはよく行われました。よく「二君にまみえず」と言って主を替えることは礼節を知らない人間がすることという認識が日本でも中国でもありました。ところが孟嘗君の場合は身の危険を感じてやむを得ず他の国へ移るということの繰り返しでした。あまりに優秀すぎること、真面目すぎることが禍していたのかもしれません。それでいくつかの国の間を移動しますがそれぞれにおいてその能力を発揮し、大いに活躍しました。孟嘗君のエピソードに必ず出てくる「食客3000人」という言葉があります。なんでもいいので一つでも人に優れた能力を持っている人を食客として迎えいれたそうで、その数が3000人はいたということです。その食客たちの能力をいろんな場面でうまく活用したことも孟嘗君の名前を高めた一つの要因です。戦場で敵をなぎ倒す勇猛果敢な武将ではなく、国のために巧みな政治手腕を発揮した宰相ですが、こういうタイプの人物は派手さがないのでなかなか歴史小説にするのは難しいところだと思うのですが、それが宮城谷昌光にかかれば見事な一大歴史ロマンになるわけです。心躍る壮大な物語に仕上がっています。孟嘗君の周囲の人々の活躍も見逃せません。史実の隙間に創作を流し込むのが歴史小説ですが、宮城谷昌光はそれを実に自然にやってのけます。荒唐無稽にもならず、また固くもならず。その辺の手腕は本当に優れていると思います。この作品を通じて是非それを感じて頂きたいです。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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