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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

谷崎潤一郎 「春琴抄」

残した作品が全て名作といってもいい谷崎潤一郎ですが、その中でも最高傑作を選ぶとなるとどの作品でしょうか?一般的には「細雪」か、この「春琴抄」ではないかと言われていますね。えしぇ蔵も同意見です。この2作品が特に秀でていると思います。この作品は、幼い頃に病で視力を失ったにも関わらず、その腕は関西で並ぶ物がいないといわれた三弦の師匠の春琴と、その支えとなることを自らの生涯の使命として生きる佐助との純粋かつ耽美的な愛の物語です。谷崎潤一郎が描く愛の物語とくれば、そこはメインストリートを歩くようなノーマルなものではない場合が多いわけで、ここでもやはりちょっと異常な細い裏道の内容になるのはいわばお約束です。佐助は春琴の弟子であると同時に、春琴の全ての面において補助することが使命ですから、外出の時に手をひくだけではなく私生活全て面倒を看ます。春琴もそれを佐助にしか許可しなかったので自然二人は常に一緒にいることになり、表面的には厳しい師弟関係を貫きつつも、一線を越えた関係にまで発展します。それでも春琴は佐助を弟子として見下した姿勢は崩さず、佐助も師匠として敬う姿勢は変わりません。その関係は極端に表現すればいわばSMの世界です。女王様と奴隷という見方もできるわけです。ある意味この作品は最も芸術的なSM小説なのかもしれません。でもこれは他の作家では創造し得ない独自の世界だなと思います。この作品のもう一つの特徴は実験的な書き方です。改行がなく、句読点も少なくて文章がずっと繋がっています。だから本を開いた時に読みにくいのではないかと思われがちですが、すぐにその名文に魅了されて気にならなくなります。妖しくも芸術的な世界を実験的な筆致で描く至高の名作を是非お楽しみ下さい。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

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