蔵書

福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

吉村昭 「破獄」

昔から小説や映画の世界には悪のヒーローがいますね。警察を手玉にとって華麗に犯罪を繰り返す。一番わかりやすい例でいうとモーリス・ルブランの小説に登場するアルセーヌ・ルパンや、それをモチーフに作られた漫画のルパン三世ですね。逮捕されても簡単に脱獄してしまいます。厳重な牢に入れられても見事に抜け出して周囲をあっという言わせる。空想の物語ならではの醍醐味ですよね。ところがそれを現実にできた人が日本にいたことをご存知でしょうか?「脱獄王」という映画にもなったのでご存知の方も多いと思いますが、白鳥由栄という人です。26年間の服役中になんと4回もの脱獄に成功しました。脱獄するたびに過酷な環境になっていくにも関わらず4回も成功させるというのは人並み外れた頭脳、精神力、体力がないと無理だと思います。しかも関節を自由に外せるという特殊な体質でもあったそうです。恵まれた才能を脱獄に活用したという稀有な人です。その白鳥由栄の破天荒な人生を詳細に調査して書かれたのがこの作品です(主人公の名前は佐久間清太郎に替えてあります)。この作品はとにかく文句なしに面白いです。看守と脱獄囚の知恵比べが繰り返される様子はまさにルパンの世界そのものです。こんな所からどうやって脱獄するのか?小説じゃあるまいし、という状況から見事に抜け出す様子は痛快感すら覚えます。罪を犯した人とはいえ、あきらめることを知らない不屈の精神には学ぶべきものがあると思いました。最後は模範囚として仮釈放され72歳まで生きたそうですが、なんともすごい人生です。是非読んでみて下さい。吉村昭の筆力によって描かれる迫力のドラマに引き込まれて、一気読みすると思いますよ。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

 | HOME | 

FC2Ad

カテゴリー

最近の記事

ブログ内検索

リンク

このブログをリンクに追加する

プロフィール

esezo

Author:esezo
FC2ブログへようこそ!

QRコード

QRコード

RSSフィード