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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

谷崎潤一郎 「陰翳礼賛」

誰か特定の文豪個人の全集を読まれたことがある方はわかると思いますが、やはり文豪というのは随筆や発表するつもりのなかった日記、あるいは誰かにあてた手紙に至るまで格調高い文章になっているものです。だから全集などに随筆はもちろん、日記や手紙なども収録されていますが、それらも非常に芸術的です。内容に関わらずやはりどこか気品を感じるというか、貴重な文章を読ませてもらってるという有り難ささえ感じることがあります。例えて言うなら日記の傑作としてあげられるのが永井荷風の「断腸亭日乗」ですね。これは本当に日々の記録として書かれたものですが、これこそ永井荷風の最高傑作という見方もあるほど素晴らしいものです。それに当時の生活や時勢を知るための貴重な資料にもなります。では随筆の傑作はとくればこの「陰翳礼賛」こそ筆頭にあげられるべきです。これは本当に谷崎潤一郎個人の意見を述べた随筆ですが、格調高い文章はもちろん、その内容が非常に深い考察によるものであり、一種の論文のような趣もあります。思ったことをただ羅列した、ありがちな随筆とは一線を画しています。日本人の民族としての特徴と、その作りだしてきた文化の深さを確乎とした信念を持って述べており、日本人が読めば自分たちの国の良さに改めて気付かされることは間違いありません。視点が斬新で、考察が深甚で、表現が的確で、結論が明確です。日本人の心の奥にあるものを知ることができるという意味において、日本について知りたいという外国の人にもお勧めの作品です。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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