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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

宮城谷昌光 「香乱記」

歴史小説の作家にはそれぞれが得意とする時代と背景があるものです。戦国時代や幕末動乱の頃を書く人は枚挙に暇がありませんが、他にも太平洋戦争を専門に書く人、平安時代を書く人、あるいはもっと昔の奈良時代を書く人、様々です。一方で目を大陸に向けると中国の歴史を書く人も多いですね。その筆頭はやはり陳舜臣が上げられると思います。日本人に中国の歴史の面白さを知らしめた功績は大きいと思いますが、残念ながら故人となりました。では現役では誰が上げられるかとなると、えしぇ蔵は宮城谷昌光ではないかと思います。あの広大な大陸の覇権を賭けて群雄が競い合う物語は、歴史好きならずとも興奮するものがあると思います。最近ではそういう作品を読みたくなった時には、宮城谷昌光を選ぶようにしています。春秋戦国時代を中心に、それ以前の殷や周の時代などを舞台にした傑作を多く残しています。おさえておくべきものだけでも「楽毅」、「太公望」、「重耳」、「天空の舟」、「孟嘗君」、「晏子」などなど、どれも心躍るものばかりです。今回紹介する「香乱記」は、初めての統一国家である秦を作った始皇帝の治世の末期、圧政に耐えかねた人々の蜂起によって再び戦乱の時代が訪れ、やがてそれが勝ち残った劉邦によって終止符が打たれるまでの波乱の時代を描いています。そうは言っても主人公は劉邦ではなく、斉という国の王になる3人の兄弟を中心に物語は進みます。宮城谷昌光はこういうちょっと違った角度から歴史を捉えようとする姿勢が非常に特徴的です。歴史をよりリアルにそして新鮮に感じることができます。中国の歴史に埋もれた優れた人物を発掘し作品に登場させることを得意としているので、いつも新たな発見があります。文章も読みやすくテンポも速いので一気に読めます。宮城谷昌光の中国史ワールドをまだ未体験の方はまずはこの「香乱記」から始めてみてはいかがでしょうか?

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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