蔵書

福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

石川達三 「傷だらけの山河」

石川達三という作家は結構作品数はあるのですが、なぜか今時の人はあまり知りません。それもそのはず、絶版が多くて書店に行ってもせいぜい「蒼氓(そうぼう)」か「青春の蹉跌」くらいしか手に入らないからです。これはちょっと悲しいことだと思います。彼の作品というのは社会問題をとりあげるのが特徴で、非常にメッセージ性の強いものです。多くの人に読まれることによって社会になんらかの影響を及ぼす力を持っています。こういった作品は後世にも残して、人はどういう社会問題を経て歴史を刻んできたのかということを教えるべきですし、よりよい社会を築いていくための参考にもすべきだと思います。それなのに絶版ばかりとは。憤懣やるかたないというところです。この作品では発展を続ける日本の社会と、その裏側における悲劇を描いています。巨大な企業のトップにある人間がどういう手法で勢力を拡大していくのか、非常にリアルに書かれてあるのが興味深いです。恐らく誰か特定の人をモデルにしてると思います(思いあたるふしはありますけど)。主人公は大きな成功を収めていく影で多くの人を傷つけていきます。でも本人はそれを大事の前の小事と片付けて、常に前進を続けます。そんな冷たい人間が日本の社会を動かしているのが現実なのかもしれません。作品の性質的に松本清張によく似ていますが、思えば目指すところが似ているわけですし当然そうあって然るべきかもしれません。新刊本の本屋にはあまり並んでいない石川達三ですが、古本屋では結構見つかりますので是非探してみて下さい。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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