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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

吉村昭 「戦艦武蔵」

2015年3月3日、マイクロソフトの共同創業者であるポール・アレン氏がフィリピン中部のシブヤン海で戦艦武蔵を発見したと発表し、その映像をYoutubeで公開しました。このニュースは世界中に驚愕をもって迎えられました。これまで何度か沈没した武蔵を探索する試みは行われましたが、いずれも発見には至っていませんでした。そして沈没後約70年にしてようやくその姿を見せたわけです。このニュースを聞いた時にえしぇ蔵は吉村昭の名作である「戦艦武蔵」を読んでいないことに気付き、すぐに買って読みました。おそらく戦艦武蔵を題材にした小説の中で一番詳細で一番面白いのではないでしょうか?本当に夢中で読みました。この作品は軍艦の戦記ものによくある”かく戦えり”的な物語ではありません。作品全体の3分の2以上は武蔵が出来上がるまでの経緯であって、戦列に加わって戦った記録は最後の3分の1にも満たないのでその辺はご注意下さい。そうなるのも無理はありません。実際に華々しく武蔵が戦ったのは、最後のシブヤン海での死闘ぐらいで、他には目立った戦績がないのです。武蔵と大和はとにかく巨大で、移動するのに大量の燃料を消費します。当時の日本はとにかく燃料に不足している状態でしたので、武蔵と大和はなるべく大人しくして燃料を節約し、ここぞという大一番で敵の艦隊を46センチ砲でなぎ倒すというのが与えられた任務でした。だから武蔵の戦う場面はつまり武蔵が死にいく場面になるわけです。この作品を読むといかに多くの人が苦心して作り上げたか、そしていかに多くの人が乗り込んで、戦って、そして死んでいったかがわかるので、読み終わってから再度Youtubeで海底の武蔵の映像を見ると、なんとも胸に迫るものがあります。シブヤン海に眠る武蔵の誕生から最後まで皆さんも是非読んで下さい。戦争の虚しさがまた違う角度から知ることができると思います。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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