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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

塩野七生 「海の都の物語」

ヴェネツィアに行ったことがある方はあの街の美しさと、伝統がそのまま形となったような街並みの素晴らしさに魅了されたことでしょう。実際、ヴェネツィアの写真を見た時にそこに写っている人の服装で時代を判断するしかないほど昔からの姿を守り続けています。この魅力的な街を含む地域一体はかつて一つの国でした。本当に小さい国でしたが、それが「地中海の女王」と呼ばれるほど周囲の海を制していた時代がありました。これはヨーロッパの歴史における一つの奇跡ではないかとえしぇ蔵は思います。周囲を強大な国に囲まれている状態で、海運貿易によるビジネスと強大な海軍力によってなんと1000年ものあいだ独立を維持し続けました。なぜそんなことが可能だったのか?誰しも疑問に思うところですが、それを塩野七生が得意の取材力で徹底調査して、完全な歴史書ではなく小説的なエッセンスも加えて面白く読めるようにまとめあげたのがこの作品です。新潮文庫版で全6冊の大作です。これを読めば「地中海の女王」の1000年の奇跡の謎が解明できます。「ローマ人の物語」の時にもとにかく脱帽しましたが、塩野七生の徹底した取材はもはや小説家のそれではなく学者の域に達していると思います。取材力のある人の作品は必然的にいいものになりますがその典型と言えます。また、ここで学べるヴェネツィアの人々の政治に関する考え方や取組には、小さい国が世界においてしっかりとその存在を確立できるヒントがあるように思いますので、政治の世界に興味がある方にも是非読んで頂きたいと思います。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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