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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

澤地久枝 「滄海よ眠れ」

太平洋戦争においてそれまで連戦連勝だった日本が劣勢になる転機となったのが、昭和17年6月5日(日本時間)のミッドウェー海戦です。この海戦は主力中の主力であった空母4隻を一気に失うという大敗北でしたから、当時大本営は国民にショックを与えないようにひた隠しに隠しました。その影響か、戦後になってもこの戦いに関しての詳細な経過などが今一つはっきりしないままになっていました。その謎の部分を明らかにすべく、深く入り込んで行ったのが澤地久枝です。日米双方の立場に立って綿密に調べ上げ、その結果をまとめ上げてこの作品が生まれました。その情報の量と細かさには本当に驚嘆させられます。この戦いにおける日本側及びアメリカ側の死者全ての名前を調査の段階で特定したというのですから、その労苦は想像を絶するものがあります。この作品のようなドキュメンタリーにおいては、既に明らかになっている事実を整理して並べるだけでは存在意義がありません。後にこの件に関して調べる人にとってプラスになるように、そこに何か新しい発見を加えなければいけません。この作品はそれが非常に大きなものであって、それまでのミッドウェー海戦に関する解釈を大きく揺さぶるものでしたので、資料としての価値は大変なものです。それに女性の立場で書かれたせいか、日米どちらにも肩入れしておらず、公正な目で冷静に分析してあることも大きな特徴です。より真実に近づき、それを多くの人に知ってもらうことで戦争の悲惨さを伝え、平和の価値を訴える澤地久枝の姿勢には本当に脱帽です。皆さんも是非読んでみて下さい。そして平和について考えてみて下さい。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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