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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

谷崎潤一郎 「魔術師」

谷崎潤一郎が妖しい美の世界を追い求めていたというのは皆さんご存知の通りですが、かなり初期の頃から既にそうであったというのを証明するのがこの作品です。大正6年に書かれたもので、当時の世間としてはかなりの異色作です。作品全体が幻想的な夢の世界のような雰囲気に包まれています。ある男女が公園のある建物で行われる魔術師の興行を見に行きます。その魔術師による不思議な美の世界に魅せられて、男女ともに魔術師に心を奪われるという噂なので、果たして自分たちの愛が魔術師に負けないかどうかを試しにいくわけです。そして美しき魔術師による美しき技を目にします。誰でもなりたいものを言えば魔術師の技によって変身することができます。はじめに魔術師は自分の奴隷たちを孔雀や豹の皮や燭台に変身させます。そして次に観客に志願者を募ります。数十人の人が自ら希望するものへと変身しました。そして最期に志願したのは愛を試しに来た二人のうちの男性でした。彼は半羊神になることを希望します。恋人を奪われた女性は男性の行くところについていきたいという思いで、自分も半羊神になることを望みます・・・なんとも妖しい世界でしょ?展開される情景の表現が見事で、小説というよりも芸術というべき作品です。読んでいくうちにふと、江戸川乱歩の世界に似てるなと思ったんですが、調べてみると案の定、江戸川乱歩と横溝正史はかなり谷崎潤一郎に影響されていたそうです。どうりで二人の作品はただの推理小説ではなく、そこに美の要素が織り込まれているわけですね。多くの作家に影響を与えた谷崎の美の世界を覗いてみませんか?

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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