蔵書

福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

芥川龍之介 「河童」

芥川龍之介の命日を「河童忌」というのはこの作品からきています。彼が服毒自殺をしたのは1927年7月24日です。そしてこの作品は1927年の発表ですからいわば晩年の作品になります。読み手を不思議な世界に誘うこの作品は、確かに初期の作品群とは一線を画しています。執筆当時は既に睡眠薬は常習になっていた頃でしょうし、若干トリップしたような状態で書かれたのではないかと勘繰ってしまうものがあります。主人公はふとしたことから河童の世界に迷い込んでしまいます。非現実的な河童の世界でのいろんな出来事はまさにファンタジー的に描かれています。夢が広がる楽しさがあります。でもそれだけなら単なるおとぎ話ですが、芥川龍之介の作品はストーリー展開で読者の意表をつくのがお約束ですので、そう簡単には終わりません。しっかり最期には驚きの結末が待っています。物語の最初からずっと主人公の目線で読んでいきますので、当然読者は主人公の立場にたって全てを見ています。それが最期になってどんでん返しをくらうので、あれ?じゃぁ今まで自分が主人公と一緒に見てきたものは一体何?と混乱します。一体何が本当で何が嘘なのか?主人公は正気なのか狂っているのか?あれ?あれ?という感じで不思議な心境にさせられたままこの話は終わるのです。この読後の複雑な心境。この作品ではそれが一番の醍醐味です。きっとあなたはもう一度読み直すか、あるいは自分なりに何が真実だったかを探るために頭を整理したくなることでしょう。ちなみにえしぇ蔵はこの作品に影響されて、舞台となった上高地を訪れました。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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