蔵書

福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

遠藤周作 「沈黙」

遠藤周作は安岡章太郎や吉行淳之介らとともに「第三の新人」と呼ばれた人で、一時はノーベル文学賞候補にもなったほどの実力の持ち主です。重いテーマを描くこともあれば、ユーモアに徹する時もあり、幅広いタイプの小説を書ける人です。まさに才能を持て余しているという印象すら受けます。この人と切っても切れない縁なのがキリスト教です。12歳でカトリックの洗礼を受けて以来、彼とキリスト教の共生が始まります。そしてそれがやがて数々の作品の上で大きな位置を占めるものとなります。キリスト教を作品のテーマや背景に選ぶ作家は日本においても意外にたくさんいますが、その中でも遠藤周作の作品はその捉え方が他とは違います。えしぇ蔵がその作品世界に強く惹かれた理由もそこにあります。その違いとは、遠藤周作の場合は自分がクリスチャンであるにも関らず、キリスト教を一歩離れた位置から冷静に正確に観察しているということです。クリスチャンがキリスト教のことを作品にすると、それは宣教の手段となってしまい、作品の良し悪しよりもいかにキリスト教を知ってもらい、いかに信者を増やすかという点に重点がおかれる場合が多いです。そうなると自ずと文章は説教のような印象を与え、クリスチャンでない人を哀れむような独り善がり的世界を作りがちです。そんな心配もなく普通に作品として楽しめる範囲でキリスト教をうまく取り込んでいけるのが遠藤周作の実力の一端ではないかと思います。この作品は非常にドラマチックで、随所に感動を伴うセリフがあります。読後には心の底に沈殿した感動の余韻が数日はあなたを捕らえたままにします。神はなぜ黙しているのか?なぜ助けてくれないのか?その答えはクライマックスで明かされますが、その部分で感動の涙がわいてくるはずです。あなたも是非この感動を・・・。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 | HOME | 

FC2Ad

カテゴリー

ブログ内検索

最近の記事

最新コメント

リンク

このブログをリンクに追加する