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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

尾崎士郎 「人生劇場」

この作品は尾崎士郎の出世作でもあり、代表作でもあります。1933年に都新聞に連載された時に好評を得て、本もベストセラーになりました。それ以来、その続編という感じで次々と書き継がれていきます。ここで紹介するのは主人公の幼年時代から、青雲の志を持って社会に出るまでの部分で、「青春編」と言われています。その後に発表されたのが、「残侠編」、「風雲編」、「遠征編」、「夢現編」、「望郷編」、「蕩子編」です。全部あわせるとかなりの量になります。「人生劇場」全編をとおして言うなら、この作品は尾崎士郎にとってまさにライフワークです。尾崎士郎自信、この「人生劇場」という言葉に非常に愛着を持っていたそうです。主人公の幼い頃の話に始まり、けんかありの、恋愛ありの、家庭のごたごたがありの、受験がありの、大きな夢がありの、楽しいこと悲しいこと、もろもろの山や谷を越えて一人前の大人になり、社会に巣立っていく一人の人間を描くというストーリー展開は、日本文学はもちろん、世界中の文学においても多く見られます。そしてそのどれも面白く読めるものです。それは、自分の人生と重ねながら、自分が歩いてきた道を振り返ってそれと比較しながら読むので、主人公の思いを共感できるからだと思います。だから読みながら応援してしまうんですよね。この「青春編」だけでも結構長いですが、夢中で読み進んでいけますよ。ただ他と違う特徴として、少し任侠の世界が混じっています。ですが今時の弱いものいじめをする社会悪としてのそれではなく、かつての”曲がったことには我慢がならない”、”男の誇りは死んでも守る”、”受けた恩は一生忘れない”的な、あの昔懐かしい任侠の世界ですから、さっぱりしたものがあってこれはこれで作品に特徴を持たせてていいものです。尾崎士郎の名作、あなたの人生劇場を思い浮かべつつ読んでみてはいかがですか?

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

コメント

尾崎士郎

尾崎士郎の実家は吉良の仁吉のお墓の側でした。仁吉のお墓は、清水の次郎長が建てたものです。吉良の仁吉は吉良上野介と並んで三州吉良では英雄ですが、世間では悪名高い吉良上野介も名君と思う吉良の人達はその悔しさから、荒神山の縄張り争いの喧嘩で死んだ義理と人情に生きた仁吉をより英雄視するようです。尾崎士郎も子供の頃より仁吉の墓の側で育ったから、どうしても人生劇場では任侠の世界が出てしまうのでしょう。

参考になりました!

コメントありがとうございます。
大変参考になりました。そういう視点で作品を読むとより深く味わえそうですね。

ありがとうございました。

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