蔵書

福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

井伏鱒二 「山椒魚」

国語の教科書にも載るほどの有名な作品ですのでご存知の方も多いとは思いますが、それでもこの作品は語らずにはいられない奥の深さを持っていますので敢えてご紹介します。井伏鱒二の代表作であり、また処女作でもあります。大正12年に発表された時の題名は「幽閉」でした。昭和4年になって「山椒魚」と改題されています。太宰治は井伏鱒二の弟子ですが、彼はこの「山椒魚」を読んだ時に大きな衝撃を受け、井伏鱒二に弟子入りすることを決めたという話があります。物語としてはいかにも学校の教材に持ってこいの教訓を含んだ童話的小説です。主人公の山椒魚はある岩屋に住んでいました。それがだんだん身体が大きくなり、気付いた時には自分の岩屋から出られなくなっていました(山椒魚は頭が大きいですからね。そういう展開なので他の魚ではなく山椒魚でないといけないわけです)。自分の住処からもはや出ることができなくなり、彼は狼狽します。悩み苦しむ彼は鬱積したものの捌け口を探しますが、そこに一匹の蛙が迷い込んできます。彼はなんとその蛙を閉じ込めて自分と同じ境遇にしてしまいます。孤独と焦燥と圧迫に耐えかねて自暴自棄になった末の暴挙でした。それからの1年間、山椒魚と蛙は口論を続けます。さらにその後1年たった後の2人はどういう関係になっているのか・・・?というストーリーです。実はこの作品、結末の部分が2通りあります。一般的な文庫本と、井伏鱒二の自薦の全集に掲載されているものとでは違った終わり方をしています。井伏鱒二は全集に載せる際にどういう意図かは謎ですが結末の大事な部分を削除しています。これは各方面から非難が殺到しました。どっちがよりこの作品の結末としてふさわしいか、今となっては読む人が各々の価値観で決めればいいのではないでしょうか?大事なのは山椒魚が岩屋の中で外の世界を羨みながら悩み苦しむ姿に何を学ぶかということだと思います。えしぇ蔵はそこに人生の縮図を見たような気がしました・・・。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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