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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

牧野信一 「村のストア派」

文学史に名作と呼ばれる作品を残せた偉大な作家というのは、忘れられていくその他大勢の作家と比べて一体どこに違いがあるのでしょうか?誰しも尊敬する作家がいて、その作風を慕うところからスタートしているのは共通です。しかし名作を生むにはそこからの展開が大事です。模倣だけでは傑作はできません。必ず自分独自のものを切り開いていかなければなりません。こういう描き方を始めたのは誰、こういう世界を持っていたのは誰、こういう分野が得意なのは誰、というふうに他とは違うその作家を特徴づける決定的なものを持っている人こそ傑作を残しています。牧野信一の場合、最初は自らの酒によって堕落した生活を題材にした心境小説でスタートしますが、やがて非常に不思議な世界を作り出します。いわゆる”ギリシャ牧野”と言われるところのものです。彼はギリシャ・ローマの古典文学に非常に造詣が深く、酒に酔った時などによく名作の一説を朗読したりしたそうです。彼はその雰囲気を自作に取り込みました。日本のある村での出来事であってもその雰囲気にギリシャ・ローマの古典の世界をだぶらせ、全く独創的な牧野信一ワールドを確立することに成功しました。この作品もそのうちの一つです。ここで説明したことを事前に知っておくと実に奥の深い作品と感じることができると思います。前提知識なしだとかなり面食らうくらいに不思議な世界ですからね。やはり大事なのはオリジナリティですね。ちなみにストア派というのは哲学の一派で、自分に厳しく生きることによって人格形成を目指そうという考えです。いわゆる”ストイック”という表現はここからきています。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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