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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

小林多喜二 「防雪林」

虐げられる労働者階級の怒りを描かせたら小林多喜二は群を抜いています。しかし、無産者階級がどうの、共産党がどうの、共産主義がどうのというテーマを抜きにしても、彼の作品は物語としてしっかり構成もできていてかつ描写も美しく、登場人物の人間性もはっきりとしていて文学作品としても高い評価を受け得るものばかりです。政治的なもの、イデオロギー的なものに興味がないから小林多喜二は読まないというのは間違いです。一つの文学として失望を覚えるようなものでは決してありません。この作品は北海道が舞台です。地主の土地を耕して、収穫を納める貧しい農民たちの話です。あまりに地主の搾取がひどいのでこれでは生きていけないということで農民たちは団結します。そしてみんなで地主に交渉に行こうということで集まりますが、向かった先には農民の動きを事前に察知した地主の手回しによって彼らを拘束しようと警官たちが待っていました。そして首謀者を吐かせるためにみんな殴る蹴るの暴行を受けます。そして傷だらけ血だらけになって帰ってきます。主人公はこのことに強い憤りを覚え、復讐の機会を待ちます。やがて地主の家が火事になり・・・という内容ですが、虐げられる労働者の悲惨さを描いて強く訴えてくるものがあるのはお決まりのパターンですが、物語の中に出てくるいろんな自然の描写の美しさを忘れないで頂きたいと思います。吹雪く北海道の厳しい自然が目の前に浮かぶようです。それに登場人物の動きや言動も細かくてユーモラスですし、ストーリーも面白いです。労働者文学という範疇だけに収めるにはあまりに幅の広い作品だと思います。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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