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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

尾崎紅葉 「伽羅枕」

この作品は実在したある老女の生涯を、紅葉が自ら本人のもとに出かけて取材し、書かれたものです。その老女とはかつて吉原でこの人ありとうたわれた花魁で、その侠気ある振る舞いで名を馳せた人でした。客の男性との関係からいろんな騒動を起こしたり、起こされたり、まさに「事実は小説より奇なり」を地でいくような人です。その波乱万丈の人生を、いくつかのエピソードに分けてストーリーとして組み立ててあり、紅葉がお得意の文体で面白く仕上げています。その主人公の女性が本当に痛快無比で、やくざ映画の主人公のような胸のすくような侠気を見せてくれます。もちろん紅葉によって脚色はされているとは思いますが、それにしてもこんな人が実在したなんて本当に驚きます。人間的に強くないと吉原のような世界では生き残れなかったんでしょうね。この作品は紅葉の初の長編です。初めてで既にこの水準かと舌を巻いてしまいます。紅葉お得意の文語文は初めて読む場合にはちょっと戸惑います。さらっと読んだだけでは意味が通じにくいこともありますが、ゆっくり繰り返して読めばわかります。読み進むと文章に一定のリズムがあることがわかり、徐々に慣れていきます。紅葉の作品は常にストーリー重視で面白さでは裏切られることはありませんのでゆっくり読んで楽しんで下さい。ちなみに伽羅枕とは中で香が焚ける仕組みになっている木の枕のことです。髪に香を焚きしめるために使われたそうです。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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