蔵書

福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

灰谷健次郎 「砂場の少年」

灰谷健次郎という人はその作品の良し悪しをどうこう言うよりも、テーマに取り組む姿勢そのものを一番評価されるべき人ではないかとえしぇ蔵は個人的に思います。この人ほど子どもの教育ということに関して真正面から取り組み、児童文学という形で自分なりの意見をごまかすことなく明確に表現し、社会に対して訴えかけている作家というのもまずいないのではないかと思います。教育問題は是非の判断が非常に難しいものなので、それを作品化するというのは作家にとってある意味危険性をはらんでいます。書く側が良かれと思って書いたことでも違った受け止め方がなされ、賛同を得られるかと思いきや逆に抗議を受けたりすることはよくある話です。灰谷健次郎も被差別部落の子どもを描いた「笑いの影」において人種差別に対して抗議する姿勢を示しましたが、逆に部落解放同盟から描写に問題があるとして非難されました。おそらくこの作品に関しても賛否両論はあったろうと思います。灰谷健次郎の考え方が正解かどうかはえしぇ蔵にはわかりませんが、教育というものに関してもう一度考えなおしてみる一つのきっかけになることは間違いないと思います。教師が読めば教師なりに、子どもが読めば子どもなりに、親が読めば親なりに、必ずなんらかの影響を受けることでしょう。ストーリーを簡単に言うとよくある学園もので、新任の先生が札付きのクラスを任されて、その先生がどうやって多くの問題ある生徒たちの心をつかんでいくかという内容です。なんだ、そんなありきたりなのかと思わないで下さい。この作品に関してはストーリーはあくまで土台に過ぎません。灰谷健次郎はその上に主人公やその他の登場人物の発言を通して自分の教育論を展開しています。そこを是非読み取って頂きたいのです。教育に関わる仕事をしている方はもちろん、子どもをお持ちの方、そして小学生、中学生、高校生の皆さんに是非読んで、そして教育とは何か?学校とは何か?皆さんなりに考えてみて下さい。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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