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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

山岡荘八 「伊達政宗」

歴史小説を書くというのは非常に難しい作業です。小説なわけですから空想で書いても非難されるいわれはありませんが、あまりに史実とかけ離れていると読者はちょっとひいてしまいます。中には丁寧に「そこは違う」と指摘するような律儀な読者もいます。だから歴史小説というのは史実をしっかりと調べた上で、調査に調査を重ねた上で、その結果出てくる空白の部分に自分の想像や解釈を盛り込み、ドラマを作っていかなければなりません。空想だけで書いても史実をきちんと調査していない作品は薄っぺらで軽いものに感じられます。そういう面において山岡荘八という人は本当に群を抜いた存在と言えると思います。調査研究における苦労が読みながらしみじみと感じられます。そしてそこに盛り込まれる山岡荘八ならではの大胆な解釈が実に爽快な筆で書き込まれており、その力強い主張が作品に躍動感を与えています。この作品の中の伊達政宗は彼の筆によると実に精気溢れた豪傑であり、巧みな政治手腕を発揮する策士でもあります。自分に与えられた人生という時間を思い切り使い切るというような痛快無比な生き方を見せてくれます。これは山岡荘八なりの伊達政宗像なわけですが、本当にそういう人だったのではないかと確信を持ってしまうくらい、文章に説得力があります。講談社の山岡荘八歴史文庫で全8巻ですが、面白すぎてあっという間に読んでしまいます。講談社の山岡荘八歴史文庫は全部で100冊あり、歴史を作り上げた様々な人物の活躍が楽しめますが、その共通している点は主人公の人間性がしっかりと描かれており、長編においても全くぶれがないことです。主人公に限らず、登場人物の個性の確立が非常に巧みです。主人公には強靭な精神を持たせる場合が多く、その逞しい生き方に読む側は大いに勇気づけられます。いわば元気を与えてくれる小説とも言えるかと思います。歴史小説の一つのあるべき姿がここにあるのではないかと個人的には思います。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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