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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

山本周五郎 「樅ノ木は残った」

山本周五郎の歴史ものというのは他とは一味も二味も違います。歴史的事実をベースにしてそれにエンターテイメントとしてのアレンジを加え面白く読ませるという点では同じですが、彼の場合はそこに”人情”のからみがあって作品全体に絶妙に色を添えます。登場人物の心の動きに共感し自然に涙を誘います。そこが大きな違いです。他の作家の場合だと「あー面白かった!」という満足感で終わりますが、彼の作品の読後には心の底にしみるような悲哀が残り、それが感動となってしばらく尾をひきます。「あぁいい作品読んだなぁ・・・」という感慨を持ちます。歴史小説を軽いものと考える人もいますが、こと山本周五郎に関してはそれはあてはまらないと思います。そこの部分をはっきりと実感できるのがこの「樅ノ木は残った」です。舞台となっているのは江戸時代前期の仙台の伊達家です。三大お家騒動の一つ「伊達騒動」を山本周五郎の独自の解釈によって一大エンターテイメントに仕上げています。4代藩主伊達綱村の時代に重臣たちの間で内紛が起こります。お家騒動というのは藩の維持がうまく出来ていないということで江戸幕府から取り潰しにあう絶好の材料です。藩内に起こったこの内紛が実は江戸幕府が伊達藩取り潰しのために仕掛けた巧妙な罠だと気付いた主人公の原田甲斐は伊達藩を救うために自ら悪役に徹して捨て身で一つの作戦を実行します。命も名も捨てて藩のために彼がしたこととは・・・?江戸幕府に敢然と立ち向かう原田甲斐のかっこよさ!そして最後のクライマックスの衝撃的な幕切れ!感動せずにはいられません。歴史の知識の有無は関係なく楽しめます。この作品で山本周五郎のすごさを知って下さい。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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