蔵書

福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

草野心平 「高村光太郎」

えしぇ蔵が草野心平を初めて知ったのは、宮沢賢治の詩集でした。彼は宮沢賢治の作品を世に広めることに多大の貢献をしています。今現在、宮沢賢治の詩が世間一般に広く知られているのは彼のおかげです。そして草野心平自身も詩人です。蛙をテーマにした詩が多く、表現にいろいろな前衛的試みをしていることでも有名です。基本的に詩が本業なわけですが、小説も書いています。この「高村光太郎」は、親しい友人だった高村光太郎のことを書いた短編です。かなり親しかったようで、頻繁に行き来していたようです。その彼が見た、高村光太郎の人生の苦悩がよく描かれています。特に智恵子夫人が徐々に精神に異常を来たし、ついには入院して体調もどんどん衰え、やがて死が近づいているという段階での高村光太郎の苦悩の姿を描いている場面は涙なしには読めません。草野心平にすがるように、「ね、君僕はどうすればいいの、智恵子が死んだらどうすればいいの?僕は生きられない。智恵子が死んだら僕はとても生きてゆけない。どうすればいいの?」と言うシーンの緊迫感と悲壮感は、読む側に悲しい戦慄をもたらします。かなり深くその心情を察していたようで、高村光太郎の苦悩を実にリアルに表現しきっています。やはり同じ文学の才能がある者同士で通じ合うものがあるのでしょうね。親友としてそばにいて記録したこの作品は、草野心平を知る上でも、高村光太郎を知る上でも貴重な作品だと思います。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 | HOME | 

FC2Ad

カテゴリー

ブログ内検索

最近の記事

最新コメント

リンク

このブログをリンクに追加する