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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

高浜虚子 「風流懺法」

高浜虚子は俳句の世界の人なので自然や人物を写生するような文章を得意としており、初期の頃はそういった写生文が多かったわけですが、この作品からいわゆる一般的な小説という形のものを書き始めます。ですが文章はやはり写実的で、それだけに登場人物の姿やまわりのシチュエーションが非常にありありと想像できます。つまり、ストーリーとしては創作なんですけど、文章はあたかも見てきたかのように写実的なわけです。これは小説としてはかなり優れているということを意味しています。実際に非常な傑作として評価されています。京都で叡山に登ったり、祇園で遊んだりした経験をもとにして創作したそうですが、その時に念の入った観察をしていたのでしょうか、読んでいると自分もそこにいるかのような臨場感を感じますし、人間性を明確に表現された登場人物たちはユーモラスにいきいきと動きまわります(特に一念という小僧さんのセリフや動作などは実に微笑ましく、どこか平和な気持ちにさせてくれます)。もし小説を書いてみよう思う人にはこの作品は非常に優れた教科書になると思います。敬意をはらうべき名作の一つです。ちなみに「懺法」という言葉は仏教用語で、罪を懺悔する際の儀式の作法のことだそうです。法華懺法、観音懺法、阿弥陀懺法などいくつか種類があるそうです。それに「風流」ということばを結びつけるところがなんとも、高浜虚子らしいセンスだなと思います。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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