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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

林芙美子 「放浪記」

「花のいのちは みじかくて 苦しきことのみ 多かりき」この名文をご存知ですか?昔の日本の女性の苦労を代弁したこの名文はあまりにも有名です。日本の女流作家の大御所とも言うべき林芙美子の代表作「放浪記」は日本文学史に燦然と輝いています。この”放浪”という言葉が林芙美子が作家として成功するまでの人生を象徴しています。自分の故郷がはっきりしないというほどに幼少期から転居を繰り返したりと、実際に”放浪”を体験していますし、何をやってもうまくいかず、貧困の辛さを味わい尽くし、いろんな男に捨てられ、苦労の連続であったその生活もまさに”放浪”でした。一見、救いようのないどん底の人生を、彼女は一歩下がって他人の視線のごとくシニカルに、しかし正面からまっすぐに見つめ、それを彼女特有の寂しさを伴うユーモアを交えて作品化しています。その文章は形式にこだわらない自由奔放なもので、誰がどう批評しようと関係ない、これが私の文学だと言わんばかりの強さが表れています。それはまさに彼女の強い生き様そのままです。自由奔放とはいえ、深く強固な文学的素養の上に築かれたものですからぐらつきのない名文であり、見事なまでの芸術として完成されています。随所に挿入されている魂がこめられた詩も実に見事です。この作品は特に女性に読んで頂きたいですね。この力強い生き方!苦しいことの連続を歯をくいしばって乗り越えていく主人公の姿に、かつての日本人の熱い魂をみることができます。人間どんな状況でもがんばれるんですよね。勇気を与えてくれる名作を見逃してはいけません。「放浪記」には「放浪記」、「続・放浪記」、「放浪記第三部」と三つありますが、これらが一つになった新潮社の「新版 放浪記」がお勧めです。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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