蔵書

福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

河野多恵子 「返礼」

この人の作品は本当に人間の心理の微妙な動きを見事に表現しているので、どの作品を読んでもつくづく感心してしまいます。男性作家にはここまで細かくとらえることは難しいのではないでしょうか?傷つきやすい女性だからこそ書けるものがあると思います。女流作家の作品の読後にはなにか心の深い場所に印象が残って、それがことあるごとに思い出されてくるような気がするのはえしぇ蔵だけでしょうか?繊細な神経で描かれたものはそう簡単には人間の心から消えていかないのかもしれません。この作品の主人公の女性は腹ちがいの兄弟姉妹とともに育てられた過去をもちます。一家の中で血のつながりがあるのは父親だけ。その父親も早くに亡くします。姉にはいじめられたりして、家族がいるのに天涯孤独のような人生を送ってきました。そんな中で兄だけが本当の妹のように優しくしてくれました。彼女が成人して好きな人ができて結婚したい旨を兄に相談した時に、思いがけず反対され、破談にされます。唯一信じていた兄にも裏切られます。このくやしい思いをいつか兄に伝えたいと思う矢先、兄は精神に異常を来たし入院してしまいます。いろんな思いを伝えたくても伝えられない……なんともやるせない思いにいらだつ彼女の中では兄に対する心境が複雑になっていきます……。まさに女流作家ならでは、河野多恵子ならではの作品ではないかと思います。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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