蔵書

福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

芝木好子 「青磁砧」

女流作家の中で芝木好子は個人的にかなりお気に入りです。美しく優しい文章の中に、非常に強い情熱が隠されている印象を受けます。ストーリー的にも主人公がただ男を頼ってふらふらというのではなく、しっかり自分を持っていて、男以外に打ち込める何か(仕事とか趣味など)があるというパターンが多いです。この作品の主人公は”青磁”に魅せられます。陶芸作品に執着するコレクターの主人公と、陶芸家の男性との間の感情のやりとりがあるわけですが、女性はこういう自分の魅せられた物に詳しい男性、その道を究めた男性に魅力を感じるみたいですね。(イングリッド・バーグマンは「無防備都市」を見て監督のロベルト・ロッセリーニが好きになってイタリアに行っちゃいましたからね。)実際に男性が何かの先生で、女性がその生徒であるという恋愛パターンはよくあります。またそういうパターンで結びついた男女というのは、共通の趣味と価値観があるわけですから非常にうまくいくようです。異性といい関係を保つには同じものをいいと思える共通の価値観は必須だと思います。閑話休題。この作品の中では主人公の父親も有名な収集家であり、主人公は父親への愛情とともにライバル意識も感じており、それがこの作品の奥行きをうまく演出しています。陶芸家の窯が青磁を焼いている大事な時に突風に襲われ、主人公と二人で風を防ぐために必死で薪を積んだり畳をたてかけたりするシーンはこの作品の中での一つの見せ場です。第47回女流文学賞を受賞しましたが、それも当然としか感じないほどの非常に優れた作品です。ストーリーもさることながら、情緒ある文章も是非楽しんで頂きたいです。こういう細やかな優しい文章は女流作家でも本当に実力派でないと書けないと思います。何度でも読み返して楽しんで下さい。できれば読む前に青磁を少し見ておくとイメージがわきやすいと思います。この作品をきっかけにあなたも陶芸が好きになるかもしれませんよ?

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 | HOME | 

FC2Ad

カテゴリー

ブログ内検索

最近の記事

最新コメント

リンク

このブログをリンクに追加する