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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

木下尚江 「火の柱」

この作品を読み終わった後に、あぁ自分は今とてつもない名作を読んだなぁという感激が襲ってきました。個性豊かな登場人物たち、劇的なストーリー展開、余韻を残す終わり方、そして全編を貫く木下尚江の強烈なるメッセージ、あの時期日本に必要だった、生まれるべくして生まれた名作です。木下尚江は作家であると紹介されるよりも、社会主義運動家と呼ばれるほうが多いかもしれません。新聞記者や弁護士の仕事を通して、日本の改革のために運動を展開します。廃娼運動や足尾鉱毒問題、普通選挙運動など、当時日本が抱えていた問題に正面から取り組み、ペンをもって戦います。それはすさまじい闘志です。逮捕されたこともありました。幸徳秋水らと社会党を結成したり、日露戦争の頃には国内が好戦的な状況の中、先頭にたって非戦論を唱えました。特にこの非戦論に関しては重きを置く必要があります。こういう言葉を残しています。「無抵抗主義とは無戦闘のことでは無い、『無抵抗』と云ふ大武器を揮つての大戦闘である、憎悪嫉妬嘲弄復讐の強敵に向て、愛の鋭刀を突きつけて更に劇しく奮戦することである」彼の主張するところはこの言葉に凝縮されています。暴力に対して愛で迎え撃つ。これはまさにキリスト教の真理そのものです。この考え方を日本が次々に戦争を体験したあの時期に声高らかに主張していたわけですからその闘志の凄まじさが察せられます。一人の作家として紹介するにはあまりにスケールの大きい人です。ペンで戦う彼にとって文学は一人でも多くの人に自分のメッセージを伝える手段でした。従ってそこから発せられるエネルギーは圧倒的です。でもメッセージだけにとらわれてはなく、表現も極めて美しく芸術的に仕上がっていますので余計に人の心を動かすのだろうと思います。きっとあなたの心にも何かを残しますよ。

(「木下尚江研究 Webページ」参照)

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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