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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

宇野浩二 「子を貸し屋」

宇野浩二は通称「文学の鬼」と言われました。言われたというのはちょっと的外れな表現かもしれません。というのは宇野浩二自身が自分は文学の鬼だ、小説の鬼だと言っていたので、やがて周囲がその表現を使うようになったというのが正しいようです。それも自分が鬼そのものだと言っているのではなく、鬼にとりつかれた男だと表現しています。これはどういう意味でしょうか?普通は仕事のこととプライベートのことは時間的にも区切りを設けて一線を引いている人がほとんどでしょうが、作家というのは日常の生活そのものが仕事につながっているので死ぬまで文学というものから逃れられないということを意味しています。特に宇野浩二は自分のまわりで起こる出来事を題材にしたり、周囲の人をモデルにしたりしていましたので尚更そうだったといえます。頭の中はいつも文学のことで一杯で、誰と話しても文学の話ばかりしていたそうです。なにも彼が特別そうだったのではなく、当時活躍していた作家はみんな似たようなものだったようです。思えば鬼がたくさんいた時代はいい作品が多いです。宇野浩二は福岡で生まれました。今の中央区荒戸1丁目です。でもすぐに大阪に行くのであまり福岡出身という感じがありません。大阪の家が花街に近かったせいかどうか知りませんが芸妓との交流が深く、そういう体験が作品の中に生きています。基本的に私小説が多いですが、この作品は全くのフィクションです。かわいい男の子と二人で暮らす佐蔵のところに芸者さんがやって来ます。そして、自分は子どもが好きだから一緒に連れて歩きたいのでちょっと子どもを貸してくれと佐蔵に頼みます。断る理由もないので貸してあげるわけですが、その後も何回も借りに来ます。そして他の芸者さんまで借りにくるようになったので、佐蔵はそれを商売にして繁盛します。でもみんなが借りに来る本当の理由を知った時・・・さぁ、佐蔵はどうするでしょう?面白い話を考え出すもんです。鬼の実力とはどれほどのものか、是非味わってみて下さい。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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