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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

久保田万太郎 「火事息子」

大きな商業施設に入るようないわゆる大手の新刊本の本屋さんに行っても1冊もその作品が見つからないというかつての大物作家は今やめずらしくありませんが、久保田万太郎までがその中に入っているというのは非常に残念でなりません。大正から昭和にかけて、小説、俳句、戯曲において縦横無尽に才能を発揮し、日本文学の歯車を全力で回してきたと言ってもいい人ですから、本屋さんで見つからないということは本来あってはならないことなのです。日本人の文学への無関心もここまできたかと悲しい限りです。微力ながらここで紹介して一人でも興味を持ってくれる人が出て、本屋さんで注文してくれるようになればとかすかな希望を抱いています。久保田万太郎の作風はとにかく人をひきつける面白さを持っています。軽妙洒脱な語り口が非常にユーモラスで人情味あふれています。そうです、とにかく”人情”というものに重きを置いている感があります。小説においてはその作風でひたすら浅草の街と人を描き続けました。下町の人情を、情緒あふれる古きよき浅草を描いて少しでもその良さを後世に伝えたいという意気込みが感じられます。この作品は「重箱」という名のうなぎ屋さんを舞台に展開される人間ドラマです。小学校の同級生に実際に「重箱」という名のうなぎ屋(当初は川魚屋)の息子がいたそうで、その人をモデルにして書いたそうです。主人公の独白体で書かれていて、友達にでも話しかけるように気さくにユーモラスに、そしてわかりやすく書かれています。非常に読みやすいですしそんなに長くないので時間がある人なら一日で読んでしまうと思います。(えしぇ蔵はこの本を京都に旅行した時に買いましたが、帰りの新幹線の中で読んでしまいました。)登場人物が非常に人間くさく人情味があって、読んでいて心温まるものがあります。この作品をきっかけに、こういう素晴らしい作家もいたんだと一人でも多くの人が気付いてくれたら本望です。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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