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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

高見順 「如何なる星の下に」

太平洋戦争が始まる直前、昭和14年、15年頃の浅草を舞台にした話で、小説のような随筆のような不思議な作品です。人情味のある下町の当時の風景が細かく描写されていて、そこでそれぞれの人生が交錯していきます。悩んだり浮かれたり恋したり堕落したり、人間くさいドラマが淡々とつづられていきます。そういった登場人物の内面と浅草の風景とが妙にマッチしていて、作者が浅草を舞台にした理由がわかるような気がします。浅草は今でも人情味のある町ですよね。えしぇ蔵は東京では浅草が一番好きです。ここだけはまだかすかに昔の東京、あるいはもっとさかのぼって江戸の面影を感じることができるような気がします。ところで浅草を舞台にした小説といえば思い起こすのが永井荷風ですね。どこかこの作品の雰囲気は永井荷風のそれに似ています。実は高見順と永井荷風はいとこ同士です。高見順の父親は官僚の阪本釤之助で、永井荷風の父親はこれまた官僚の永井久一郎です。阪本釤之助は永井久一郎の弟です。だから作品に似た雰囲気があるのはもしかするとDNAの影響かもしれませんね。ちなみに永井家は尾張で帯刀を許されたほどの豪農で由緒ある名家です。だからどちらもおぼっちゃんであるといえます。実はこの2人、いとこ同士でありながら大変仲が悪かったそうです。天才同士、何か相容れないものがあったのでしょうか?ちょっと残念な気がします。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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