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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

山本周五郎 「さぶ」

山本周五郎の作品というのは本当に得るものが多いと思います。「人間として歩むべき道」をビシッと教育してくれるような気がします。様々な苦労を経て、生きることの辛さを実感し、そこから強さを身につけてきた人だからこそ書けるのだろうと思います。この作品では特に彼のメッセージを強く感じます。無実の罪で罪人の更正施設のような「寄場」というところに送られる主人公の栄二は、最初は自棄になり、人や世の中を呪います。それがいろんな人と出会い、いろんな経験を経ていくうちに反省し、人を信じること、人を許すこと、人に感謝することを学んで一人前の男に成長していきます。まさに人としての生き方を学ぶ教科書のような本です。文部省推薦って感じがします。ストーリーの構成もよく、文章も読みやすいので誰でもすんなり入りこめる作品です。どれでも1冊、彼の作品を読めばきっと”山本周五郎”ワールドにはまってしまうことだろうと思いますが、この作品を最初に読んで、それ以後山本周五郎を読まないという人は少ないのではないかと思います。人の心の底に大事なものを残してくれるので、それがきっと次の作品への欲求につながっているのではないかと思います。ところでこの作品のタイトルは『さぶ』ですが、主人公の名前は『栄二』です。あれ?と思いませんか。この作品を読み始めればきっとこういうふうに感じることでしょう。「これ、題名は『さぶ』じゃなくて『栄二』のほうがいいのでは?」と。半分くらい読んで「やっぱり『栄二』にすべきだ」、後半に入って「絶対『栄二』にすべきだ」と感じるはずです。ところがですね、読み終わってきっとこう思います。「なるほど。『さぶ』がいいな」と。そこでまた山本周五郎のすごさを思い知らされるわけです。是非この作品から大事な何かを学んで下さい。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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