蔵書

福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

川端康成 「伊豆の踊り子」

日本人なら知らぬ人はいない日本文学史上燦然と輝く名作中の名作です。描かれている日本の風景の美しいこと!ここにまさに川端康成が後に自分の使命とした「日本の美を伝える」意気込みが感じられます。この作品は川端康成の実体験がもとになっています。彼は大正7年に下田に旅行します。その前年に旧制第一高等学校に入学していますから、若く多感な頃です。その時の体験を大正11年に「湯ヶ島での思い出」という作品にしています。さらにそれをもとにして大正15年にこの名作を書いています。本人にとっては若い頃の作品ということで納得のいかない部分が多いようですが、逆に若さがこの作品の誕生には必要だったのではないかと思います。こんな清廉で率直で美しい文章は逆に老練のベテランになってからは書けなかったのはないでしょうか?作品としてはとてもシンプルな内容です。主人公が伊豆へ旅して出会った踊り子の旅芸人たちとの心のふれあいが、静かに流れる時間の中で極めて美しく描かれています。まるで清流のせせらぎを聞くような心持にさせてくれる作品です。発表されて以来、現在に至るまで日本を代表する名作文学の位置を譲ることはありませんでした。よほど日本人の心に響くものがあるのでしょう。いつの時代でもその評価が下がることはありませんでした。おそらくこれからもそうでしょう。映画化された回数も多く、なんと6回です。しかも毎回その時代のトップスターがヒロインを演じました。第1回では田中絹代、以下順をおっていくと、美空ひばり、鰐淵晴子、吉永小百合、内藤洋子、山口百恵です。錚々たる面々です。これからも繰り返し映像化されるでしょうが、えしぇ蔵としては映像としてその作品世界を経験する前に、川端康成の文章で先にじっくり味わって頂きたいと思います。それにしても川端康成という人はこんな純粋な作品を書くわりには豪快な人だったようで、湯ヶ島の滞在ではほとんど宿賃を払っていないそうです。まぁでもこの作品が世界的に有名になって湯ヶ島も有名になったから宿賃分は帳消しというところでしょうか?

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 | HOME | 

FC2Ad

カテゴリー

ブログ内検索

最近の記事

最新コメント

リンク

このブログをリンクに追加する