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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

芥川龍之介 「羅生門」

日本で最も優れた短編小説の書き手は誰か?ということを考えるとすれば、絶対に最終選考まで残るのが”小説の神様”志賀直哉と、”知性の鎧を着た”芥川龍之介ですね。他にも優れた短編小説作家は数多くいますが、この二人はちょっと別格の感があります。ただ、どちらも優れているとはいえ、全くタイプが違います。志賀直哉の場合は普段の生活の中において自然体で書かれたという感じがして、読む時にもリラックスして読めますが、芥川龍之介の場合は強く訴えるものがあったり、感性を激しく揺さぶろうとするものがあったりして、読み手をぐっと引きつけはしますが読後はちょっと疲労を感じます。例えばこの「羅生門」を読めばそれが実感できると思います。一般に芥川龍之介の代表作とくればこの作品が最初に思い浮かぶ人も多いでしょう。これは彼が得意とした、歴史から題材をとった「王朝もの」といわれる作品群の一つです。戦乱が続き、飢饉や疫病の蔓延などで荒廃した昔の京都が舞台です。京都のような都には大きな門があちこちにあるのが常ですが、羅生門もその一つとして登場します。実際に京都で大きなお寺の山門などを見ればこの作品の情景がすぐに浮かぶと思います。ここで言う門とは、小さな屋敷の門ではなくそれだけで一軒の大きな家ぐらいの規模のある大きな門です。その二階においてドラマは進行します。人間が追い詰められて限界にきた時、生きるためにやむを得ず行う悪事は果たして許されるのか?そういったかなり重いテーマを扱っています。こういう極限状態における倫理観というのは実際にその状況を経験したことがない者にはとても裁くことができない問題なのかもしれません。そんな深い問題を短いストーリーに凝縮して読み手にどかんとぶつけてくるところがまさに芥川龍之介的なところです。おもしろいけどどっしりと重い名作をお楽しみ下さい。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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